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タックスヘイブン対策税制について
香港において会社を設立する場合には、香港の税金が安いことから、事業の実体がないペーパーカンパニーなどを設立した場合、タックスヘイブン対策税制が適用になることがあります。詳しくは、国際税務に精通した税理士等にご相談されることをお勧めいたします。
なお、当事務所では香港・中国進出を目指される方のお手伝いをさせていただいておりますため、不法に租税回避を行う目的での会社設立につきましては、受任いたしかねますことをあらかじめご了承ください。
タックスヘイブンとは
タックスヘイブンとは、日本語に訳すと「租税回避地」という意味で、一定の課税が著しく軽減、ないしは完全に免除される国や地域のことをいいます。このタックスヘイブンは、世界の先進諸国にとってみれば非常に厄介な存在であり、大企業や富裕層などの資金が、自国からタックスヘイブンに流出すれば、当然ながら税収は減ってしまいます。そこで、その対応策として考えられた制度が、タックスヘイブン対策税制です。
タックスヘイブン対策税制の要件
この税制の仕組みは、一定の条件のもとで、所得に対する税の負担が20%以下である外国の子会社の留保所得を、その親会社である日本の法人の所得に合算して課税するものです。この税制は、株主である個人(居住者)についてもその合算課税の適用があります。
ただし、タックスヘイブン国に設立された子会社なら、何でも合算するという訳ではありません。
日本のタックスヘイブン対策税制が適用されるのは、以下の場合です。
(平成22年4月1日現在)
- 株式の持分の50%超が、日本の居住者及び内国法人によって保有されている外国法人(外国関係会社という)
- 上記の外国関係会社のうち、現地の所得に対する税負担が25%以下であるもの(特定外国子会社等という)
- 内国法人が上記の特定外国子会社等の発行済株式等の10%以上を、直接及び間接に保有している場合
ただし、次の条件をすべて(4.はいずれかひとつ)を満たす場合は、タックスヘイブンで事業を行う日系企業であっても、タックスヘイブン対策税制の適用外となります。
- 事業基準
株式もしくは債券の保有、工業所有権もしくは著作権等の提供または船舶もしくは航空機の貸付を主たる事業としないこと。 - 実体基準
その本店所在地国において、その主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有すること。 - 管理支配基準
その事業の管理、支配および運営を自ら行っているものであること。 - 所在地国基準or非関連者基準
主として本店所在地で事業を行っていること。ただし、主たる事業が、卸売業、銀行業、信託業、証券業、保険業、水運業または航空運送業である場合には、主たる取引(業種により異なる。たとえば卸売業の場合は売上または仕入取引)の50%超が非関連者との間で行われていること。
適用除外の判定
この表から外れるものはすべてタックスヘイブン対策税制により日本法人と合算課税となります。
平成21年の税制改正について
外国子会社からの受取配当金が原則益金不算入となったことから、タックスヘイブン税制においても、内国法人に合算される所得から支払い配当金が控除されないこととなりました。
対象となる外国子会社
- 内国法人の持ち株割合が25%以上で、保有期間が6ヶ月以上の外国法人
- 外国子会社から受け取る配当の額からその5%相当額を、その配当にかかる費用として控除(その配当の95%相当額を益金不参入)
現行制度−間接国税額控除制度
〜外国子会社が配当を行った場合〜
- 配当を行った場合、子会社所得(100)を益金参入し、全世界所得を400(300+100)として外国税額控除
国内法人税納付額:400×30%−100×20%=100 - 企業全体の税負担額は、120(=¥100+20)となる
〜外国子会社が配当を留保した場合〜
- 配当を国外留保した場合、子会社所得は親会社の所得としてみなされないため、親会社(300)、子会社(100)別々に税負担
- 企業全体の税負担額は、110(=300×30%+100×20%)となる
外国子会社配当益金不参入制度(改正)
- 外国子会社配当を親会社において益金不参入とするため、配当の有無に関わらず、親会社(300)、子会社(100)別々に税負担
- 企業全体の税負担額は、110(=300×30%+100×20%)となる
(なお、上記は簡略化のために全額益金不参入としているが、実際には配当額の95%相当額が益金不参入となる)